ただならぬ気配。

ただならぬ気配を感じてるのかどうかわからないまま、生活する宏香さんの日々。

存じ上げておりません

仕事上、いろんな披露宴のビデオを見ることになるのですが、
チェックしていると、どうしても気になってくるのが司会者やスピーチでの言い回し。
一番引っかかっているのが敬語の使いかたです。


まず、新婦が両親にあてた手紙の朗読。
普通お涙ちょうだいのシーンなのですが、
その新婦さんは礼法等を勉強してきた方だったそうで、
頑張って最上敬語でお手紙を書いてきたのですが。


「ここまで育てていただいてありがとう存じます」


どうしても引っかかったのは「存じます」の使い方。
「存じる」というのは普通「思う」「知る」の謙譲語です。
謙譲語とは相手に対して自分がへりくだる表現なのですが、
「へりくだる」ってのがいまいちピンとこないという皆さんも多いかと思います。
相当砕けて乱暴に言うと、自分が一歩引いた動作を表現することで相手を立てる敬語です。
(うーん、分かりづらくなったらすいません)


おそらく、この新婦さんの意図としては、親に対してのへりくだりということで、
あちこちで謙譲語を使ってました。「存じます」というのもそのような意図だと思います。
でも、もともとの「存じる」は「思う」「知る」ということなので、
敬語を知っている人としたら「???」ということになります。


そういえば、元ローカル局アナ出身の司会者が、
主賓に挨拶をお願いする時に、


「ではここで新婦側の主賓でいらっしゃいます○○様にご挨拶をお願いしたく存じます」


と言ってました。
もともとは「挨拶をお願いします」なのですが、
おそらくレポートなどで「では、いまからやってみようと思います」というように、
今からやろうとしてることに対して「思います」を使っていて、
それを謙譲語に直せば丁寧じゃないかな、と思っているようなんですが。
あの、それアナウンス教室などでは「やっちまったな!!」ということでNG出されます(ぼそ)。
今からやろうとしてるのになんで「思う」だけでやらないよ、ということになるでしょ?と先生から教わりました。
(しかも、この元局アナさんは結構発声法にクセがあり、マイクにブレス音は入りまくるわ、ホントに局アナだったの?と思ってしまった)


今回の件で、解答はどうなる?といろんなサイトや本を引っ張り出してみたんですが、
「ことばのレシピ 語楽」の中で、
敬語とはお互いを敬愛しあう言語行為であり、自然に使うことが大事とありました。
確かに、結婚式で回りがえらい人ばかりで、という挙式の場合、
頑張ってよく見せようという気持ちはわかりますが、
間違った敬語を使いまくってしまい、
「んまぁ!慇懃無礼なお嫁さんザマス!」と思われたり、
「はいはい、付け焼刃、付け焼刃」
と思われてしまっては自分の思わぬ方向に行ってしまいます。


この場合、新婦さんの手紙では「ありがとうございます」か「ありがたく存じます」、
元局アナの司会者の場合は「ご挨拶をお願いいたします」「ご挨拶を頂戴いたします」が自然ではないかと。
模範解答が出せる、というお方がいらっしゃいましたらコメント欄まで頂けると助かります。


薄給とよく言われるブライダル業界。
憧れ業界の一つともいわれますが、
お給料はそんなにないですし(お給料はマックより安いバイト代もらってます・爆)、
シーズン前後になれば毎日残業はざら。入る人も多いですが辞める人も多いです。
アメリカクイズではありませんが、知力体力たまーに時の運というのがブライダル業界なのかなと思ったりします。
しかしマスターカードでも払えないpricelessな知識の勉強ができる場でもあり、
今まで覚えてきたことを意外な場所で実践できる場でもあるんだなーと来月3年目を迎えて思うのでした。